1.スカンジナヴィア3国(スウェーデン、ノルウェー、デンマーク)のシングルの見分け方について
この3カ国では、盤、スリーヴにおいて共通のものが使われることが多々ありました。そして、レーベル上に、ドイツのGEMA、オランダのBIEMなどに相当する記号として「NCB」という表記が使われています。しかし、同一に見えるレコードでも、国ごとに微妙な違いがあります。 @ 盤の音溝とレーベルの間に、レコード番号の他、数字の刻印があります。69がスウェーデン盤、710がノルウェー盤。 A NCBが長方形で囲まれていたらスウェーデン盤、正方形ならノルウェー盤かデンマーク盤。ただし、正方形でもスウェーデン盤という場合もあるようです。 B レコード会社にもよりますが、スウェーデン盤、デンマーク盤には、レーベルに「Made in 〜」と書いてある場合もあります。 C 盤が「Made in UK」である場合も、特にノルウェー、デンマーク盤に多く見受けられます。これらは、盤あるいはレーベル(!)を輸入して、スリーヴだけ自国で印刷するという手法が取られています。概ね、スウェーデン盤のスリーブはしっかりした作りのものが多く、裏に他のレコードの宣伝などが印刷されています。逆に、スリーヴでなく単なる2つ折りのもの、スリーヴの裏が白紙のものは、ノルウェー盤かデンマーク盤です。 |
2. 英国シングルのレーベル形状(プッシュアウト、ソリッド、プロング)について 60年代から70年代初頭にかけての英国盤シングルは、ジュークボックス用のドーナツ盤に移行できるよう、センター部分が3本または4本の脚(プロング)で支えられている形状のものがほとんどでした。これを「プッシュアウト・センター」といいます。ちなみに米国盤などは最初から穴の大きいドーナツ盤で、プレーヤーにかける時はアダプターを使用していました。プッシュアウト・センターは、一度プッシュアウトしてしまうと元に戻せませんから、センターが抜けてしまったレコードは中古市場では価値が下がります(ノー・オリジナル・センター=NOCまたはノー・センター=NCと表記されます)。ノー・センターの盤にはめ込んで使うアダプターも登場しました。 その後、LPと同じ形状の、小さな穴のタイプ(ソリッド・センター)が主流になりますが、60年代後半から70年代初めまではこれらが混在しており、同じレコードでもプッシュアウトとソリッドがあったり、さらにプッシュアウトでも3本脚と4本脚が存在するケースが見つかっています。 3pronged(左)と4pronged(中)、solid(右) ただし、ParlophoneやDecca、Columbiaなど大手のレーベルは最初から4本脚で、プロングのヴァリエーションはないため、プッシュアウトとソリッドを気にするコレクターは多いが、プロングの数については見過ごされてきた印象があります。
特に、われらが(Wayne Fontana &)The MindbendersやHotlegsを擁するFontanaレーベルは、2タイプのプロングが併存(発売時期は重なっていないかもしれませんが)していました。各シングルのヴァリエーションは下表の通りです。
プロングのタイプが2種類あるのはフォンタナ・レーベルぐらいですが、プッシュアウトとソリッドの2種類があるレーベルはRCA、Pye、Warnerなど多数あります。 |